倫理試験(Ethics)受験体験談
USCPAにおける、「倫理試験」をご存知でしょうか。
AICPA Ethics, CPA Ethics、Ethics examなど、色んな呼び方をネットで見ますが、正式名称は下記です。
Professional Ethics: The American Institute of Certified Public Accountants’ Comprehensive Course (For Licensure)
こちらの試験、
高い(悲)、難しい(涙)、時間がかかる(怒)!
と、非常に嬉しくない三拍子が揃っており、乗り越えるハードルが高いという声をよく見かけます。
実際に、筆者も合格するまで時間がかかりました…
「倫理試験てよく聞くけれど、何?全くわからんから情報くれ。」
そんなご要望にお応えできるよう、下記をがっつり本記事に詰め込みました!読み終わる頃には、最低限必要な情報を網羅できた状態になると思います。
- 倫理試験の概要
- 誰が受験必須?
- 費用の目安
- 安く購入する方法
- 購入手順
- 受験方法
- 試験のおすすめ攻略法
- トラブル事例
- トラブル回避のヒント
購入も受験も、合格後も色々あって四苦八苦した倫理試験の体験談、ここに大公開します!
倫理試験の基本情報
改めて、倫理試験についてご説明します。
どんな内容?
プロフェッショナル(CPA)としてサービスを提供する際、遵守すべきルール・倫理観・判断基準などを学べる内容になっています。
- 個人、法人とでは、どのようなルールの違いがある?
- AICPA、SEC、PCAOB、IRSやその他機関の独立性ルールは、どんな違いがある?それぞれの特徴は?
などなど、プロとして当たり前の道徳や守るべきルールを「ぎゅっ!」と圧縮した内容です。具体的なトピックスは、下記の通り
Key Topics
- AICPA Code of Professional Conduct and its Conceptual Framework
- Ethics and independence rules from the AICPA and other regulators, including the U.S. government
- Activities that discredit the profession
- Ethics interpretations issued by PEEC
- NOCLAR
- AICPA Statements on Standards for Tax Services (SSTSs)
- U.S. Treasury Department’s Circular No. 230
- Internal Revenue Service (IRS) penalty provisions
作者は?
AICPA
受験方法は?
オンラインでの受験です。オンライン教材を購入し、その教材経由で試験ページにアクセスできます。
試験の詳細は?
- 形式::4択問題のみ
- 問題数:48問
- 合格点:90%以上
- 受験時間:制限時間なし
- 受験回数:上限なし※ただしオンライン教材の有効期限は1年です。教材購入後、1年以内に合格する必要があります。
- その他特筆事項:オープンブックの試験です。
受験対象者
USCPAのライセンス登録を、ワシントン州で行う方は受験必須です。
ワシントン州のライセンス取得要件にも、倫理試験の合格が必須であると記載されています。
いつから受験可能?
いつでも教材を購入・受験することができます。筆者が知る限りでは、本試験全科目合格後に着手する人がほとんどの印象です。
購入手順
AICPAのオンラインストアに、アクセス
ログインもしくは、アカウントを新規登録してください。
※購入するには、アカウントの作成が必須です。
検索バーに教材名を入力
Professional Ethics: The American Institute of Certified Public Accountants’ Comprehensive Course (For Licensure)
支払い通貨の確認
右上、通過選択の表示がある?
USドル払いのみ、ではないのか?
デフォルトでは、「British pounds」になっています。通貨をクリックすると、USドルか英ポンドの2択が出現します。
当時の「円→ドル」と「円→英ポンド」の相場を確認したところ、英ポンドの方が割高で買うことになるため、USドルを選択し通貨の切り替えを行いました。
教材をカートに入れ、クーポンコードを入力
「Add to Cart」ボタンを押し、教材をカートに追加します。
「Add to Cart」→「View in Cart」 へと、表示が変わったら支払い画面に進みます。
支払い画面(Proceed to Chekout)に進む前に、絶対行うべきなのがクーポンコードの入力です!
「Promo Code」という項目をクリックし、そこにコードを入力します。
2024年11月時点、「MOORE」という20%OFFのコードが有効だったよ!
住所・支払情報を入力
「Proceed to Checkout」を押すと、請求先住所や支払い方法を入力する画面に進みます。ログインしていない場合は、この段階でログインを要求されます。
ちなみに筆者、ここでプチトラブルがありました。
住所入力時、「Country/Resion」 を選択するのですが、その欄はデフォルト「United States」が選択されていました。
何度その欄をクリックしても反応が無く、国変更ができません。
仕方がないためそのまま次の画面に進もうとしたら、郵便番号からエラーを読み取ったのでしょうか。「正しい住所を入力してください」と進めなくなってしまいました。
ここで筆者が行ったのは、一旦購入を断念し、マイページで住所を登録しておくことです。
住所登録後は、登録済み住所から「届け先住所」や「請求先住所」を選択できるため、自動で「Japan」が入力されました。
オンライン教材にアクセス
購入が完了したら、マイページ経由で教材にアクセスします。
マイページ経由でアクセス
ページ右上、自分の名前が表示される部分をクリックし、プルダウンメニューを表示します。「Purchases」を選択してください。
購入済み製品一覧が表示されます。「My Learning」もしくは「Access Now」どちらかをクリックし、オンライン教材を開きます。
試験結果を送信する州の選択
下記メインページが表示されます。まずは、「State Selector」をクリックし、倫理試験の結果をデータ送信する州を選択します。
「State」に送信先の州を入力し、「Submit」をクリックします。緑のバーにて「Success」と表示されたら完了です。
筆者はワシントン州でライセンス登録する予定ですが、一応出願済みのアラスカ州も、結果送信先として選択しました。
ちなみに、受験後こちらの画面に戻った際、編集がロックされていました。
「やっぱり、あの州にも結果を送りたい」と後から思っても、修正できない仕様になっているためご注意ください。
本教材にアクセス
「State Selector」の下にある、「Professional Ethics: The American Institute of Certified Public Accountants’ Comprehensive Course (For Licensure)」をクリックして開いてください。
下図のようなポップアップ画面が出現したら、それが教材となります。
教材を一巡
教材はModule1〜Module8で構成されています。
肝心の倫理試験のページですが、「Contents」をクリックし内容をご覧ください。
えっ………試験ページ、コンテンツに無い?
教材買い間違えた?と、筆者も最初は焦りましたが大丈夫です。
全てのモジュールにに目を通すと、教材が「既読」状態になります。すると「Welcome」のページ下に、試験画面へのアクセスボタンが出現します。
「ちゃんと全部目を通してから、受験しろよ」という、AICPAからのお達しが聞こえるようです(笑)。
試験攻略法
筆者の受験履歴ですが、
- 1回目:77% (※5時間かかった)
- 2回目:まさかの77% again(※5時間かかった)
- 3回目:93% (※9:30〜19:00まで、休憩を挟みながら着手)
………時間かかりすぎぃ
ネットで「時間を取られたくない」という意見を見かけるのも納得です。
着実に合格するためじっくりと解いていましたが、ここまで時間を費やしてしまうとは思いませんでした。
一発合格を狙うなら、どうすべきか?
筆者の反省点を踏まえ、まとめたポイントが下記です!
教材の検索機能を駆使する
教材に、「Search」という検索機能があります。
各問にて、キーワードになると思う単語を検索します。
検索結果一覧が表示されたら関連度の高そうな内容にアクセスし、内容をじっくり読み込みます。全ての問いで、納得するまで「じっくり読み込む」を行なっていたため、本当に時間がかかりました。
ちなみに筆者、受験3回目まで「テスト中も、オンライ教材を参照できる」ということに気づきませんでした。
1回目受験時、検索結果から該当箇所に飛ぼうとしたら下記メッセージが表示され、「あ、テスト中は教材触れないのか」と思い込んでしまったからです。
後々メッセージをよく読むと「もしかして、ボタンを押さないと説明が出現しないあれのこと?」と気づきました。
教材には、その項目を「クリック」しないと肝心の説明内容が表示されない仕様がたくさんあります。
この事を指しているのであれば、「the screen………is currently hidden」=「クリックをしていないから説明ページが隠れている、表示できない」という文章も納得です。
検索機能を使用後、問題解答に戻っても、次の問には問題なく進むことができました。
検索機能使えるとわかっていたら、1回目で合格したかもしれないのにっ!
よくポップアップの内容を読まず、思い込んだお前が悪い。
なぜ「他の選択肢は間違いなのか」を突き詰める
「これが正解」と思う選択肢があっても、「ではなぜ、他は不正解なの?」を突き詰めました。
調べていく内に、「あれ?不正解と思ったこの選択肢、やっぱり正解では?教材に当てはまる説明がある…」と、気が付くきっかけになりました。
不正解の根拠を探す作業は、AUDの試験を思い出します。
根拠探しはかなり時間がかかりますし、「もう面倒くさい、やりたくない」と、何度かサボりそうになりました。
今調べるは一時の苦痛、調べぬは明日以降も倫理試験生活。
明日も試験は嫌だぁっ!!!
と、自分を鼓舞することで「なぜその選択肢は間違いだと思う?」を分析する作業と向き合いました。
その甲斐あってか、受験3回目は合格することができました。
適度の休憩を取る
筆者のように時間がかかってしまう場合、受験開始から3時間も経過するとだいぶ疲労が溜まります。
あと6問、もう少し。あと5問、もうちょっと。あと4問、早く終われ。あと3問、もういいから終わりたいっ!やりたくない解放されたい〜!
こらこら適当にやっていると不合格に、…あ〜ほら、言わんこっちゃない。
疲れのせいかテスト終盤になると「早く終われ」の気持ちが先行し、「もうこの選択肢でいいや」と、適当に解いて案の定不合格になりました。
受験が長時間にわたる場合は都度休憩し、「適当に問題を解く」状態にならないよう、気をつけてください。
「Restart exam」ボタンに注意
試験ページですが、下図のレイアウトで問題が出題されます。
図にも書きましたが、うっかり緑色の「Restart exam」をクリックしないよう、気をつけてください。
クリックすると文字通り「試験やり直し=1問目から解き直し」になります。「本当にやり直しますか?」と、親切に確認してくれる仕様になっていません。
試験を開始したばかりの段階ならともかく、40問以上解答済みの時に「うっかり」ボタンを押した場合、精神的ダメージがきっと大きいです。
受験後
受験し合格した場合、やるべき事が2つあります。
結果通知ページを印刷
48問解き終わると、その場で採点・結果が表示されます。
画面左側にスコア、右側にその画面自体を印刷するためのボタンが表示されます。
印刷ボタンをクリックし出力された内容を見た筆者、ここで「ん?」と思いました。
どう見ても、正式な合格証明書には見えん。
それもそのはず、それは正式な合格証明書ではありません。証明書は別の画面でダウンロードします。
しかし上記のページも、万が一発生するトラブルに備え、印刷しておくことを強く推奨します。
合格証明書のダウンロード
合格証明書にアクセスするためのページに移動します。
教材を開いている場合は、右上の「Exit」をクリックして終了してください(Windowsを閉じるボタンでも可)。
次に、「Back to Program」をクリックします。
左上の、「Back to my Learning」をクリックします。
下図のマイページが表示されます。「Certificate」タブにアクセスしてください。
合格後は、こちらにPDFの証明書が発行されるそうです。
ライセンス申請を行う際、PDFの合格証明書をアップロードすることになります。
PDFデータをなくさないよう、大切に保管してください。
ところで、上図の空である一覧を見て「ん?」と思った方。
ご察しの通り、筆者は合格したのに証明書が発行されませんでした…
ネット情報で、本来ならここに発行されると知りました。
以下より、筆者が体験したトラブル事例をご紹介します!
トラブル事例: 合格証明証が発行されない!?
実は試験中、肝を冷やした出来事がありました。
「次の問題に進む」のボタンを押した際、画面の右上にポップアップメッセージが表示されました。
詳細な内容は忘れたけれど、「データ送信がうんたらかんたら」書いてあったんだよね。
データ送信エラーによる、試験無効を連想しました。
しかしその時にはもう40問以上解き終わっており、「中断してやり直しはありえない!」と思いそのまま進めました。
そして試験終了後、93という合格点は表示されました。
しかし証明書が発行されるはずのページに、なかなか合格証明書が出現しません。
ページを開き直しても、再ログインしても、オンライン教材を隅から隅まで確認しても、どこにもありませんでした。
…………………………………………4回目受験しないとダメ?
絶望するのはまだ早い。こういう時こそ、先方に問い合わせしてみなさい。
その通り、まだ希望はあります。
オンライ教材の一番最初のコンテンツである「Welcome」に、お問合せ先が記載されています。
「Need to contact us?」のアイコンをクリックすれば、連絡先が表示されます。
筆者はそこに記載されていた、メールアドレスに連絡をしました。
先方に状況、試験合格日、合格した証拠である結果通知ページのPDFを添付し、「合格証明書、発行されますかね…?」を問い合わせました。
〜約1週間後〜
メールに添付された形で、PDFの合格証明書を頂けました!!!
メールにて受領した際、「〇〇州に試験結果を直送してください」とお願いすると、対応頂けます。
一時は4回目の受験を覚悟しましたが、回避することができて本当によかったです。
トラブルのリスクを下げる方法
確実なトラブル防止方法はわかりませんが、「これが原因だったのかもしれない」という心当たりはありました。
受験時間
9時半〜19時まで、ダラダラ問題を解いていたのが、一番まずかったのかもしれません。知らずに接続が、タイムアウトしていた可能性があります
他のアプリケーション・Webサイトは開かない
筆者のように合格証明書が発行されず、どう解決したのかを綴った体験談がないか、ネットを血眼になって探しました。その際、「試験中処理落ちした。他のアプリでBGM再生していたせい?」という内容が2件ありました。
筆者も休憩中に他のWebサイトを開いたり、違う作業を少し行ったりと、色んなページを開きました。無関係なものを起動すると、トラブルになるリスクを上げるのかもしれません。
合格後、必ず結果通知ページをPDFにてダウンロード
どんなに気をつけていても、何が起こるかはわかりません。
万一トラブルに見舞われてしまった時に備え、合格済みの証拠であるPDFを必ず保存しましょう!
まとめ
以上が筆者の、倫理試験受験体験談です。
教材の費用が高く、人によっては合格までかなり時間を費やしてしまいます。しかしワシントン州でUSCPAのライセンスを登録する場合、逃げることができない試験です。
本記事を読んで「受けるの嫌だな…」と思った方も、いらっしゃるかもしれません。
筆者も非常に腰が重かったのですが、皆さんには下記ポイントを伝授します。こちら、ぜひ乗り越えるための参考にしてください。
- 通貨選択は正しいか
- 急ぎの受験が必要ない時: 次月、定価が下がっている可能性を頭の片隅に置いておこう(※ただし、必ず値下がりする保証はないため注意!)
- クーポンコード(2024年11月時点: MOORE)の入力を忘れずに
- 住所入力でトラブったら、マイページで住所登録してみよう
- 教材購入後、1年以内に合格しよう
- 教材の検索機能を駆使しよう
- なぜ「他の選択肢は間違いなのか」を分析しよう
- 試験が長時間にわたる場合は、適度に休憩しよう
- うっかり「Restart Exam(試験やり直し)」ボタンをクリックしないよう、気をつけよう
- 受験時間が長くなりすぎないよう、気をつけよう
- 試験とは無関係のアプリやWebサイトは、開かないようにしよう
- 試験結果が表示されたら、結果通知画面をPDF保存しよう
- 正式な合格証明書PDFを、大切に保管しよう
- トラブルが発生した時は、希望を捨てずにAICPAへお問い合わせしよう
以上、ありがとうございました!